山下 澄人
「ぼく」を通して語られる、いつか、どこかで暮らしていた人々の物語。おばさんは幼い頃、「ぼく」の母親が窓から捨てた油で顔に消えない痕がのこるが、のちに、刑務所に入った父親、交通事故死した母親のかわりに「ぼく」をあずかる。幼馴染みたち、アパートの飲んだくれのおじさん、月を見張っているおじいさんーー。富とは無縁の人々を、静かな雨が包み込む。「永遠」にめぐる世界を閉じ込めたかのような奇跡的中編。